相続税の基礎知識

相続税は相続財産にかかる税金で納税義務者は相続人です。
日本では累進課税方式なので相続財産が多額になるほど税率が高くなります。
相続人が多くなると相続財産が分割されるので、個人当たりの相続税は安くなります。

▼ 目次

日本の相続税は高い?

日本の相続税は世界的にも高く、また課税適用される範囲も広いのが特徴です。
海外で所有する財産にも相続税がかかるという厳しいものです。

日本在住の外国人も、条件が合えば課税の対象になります。
そのため、日本に長年住み慣れた外国人も、高齢になると母国に戻ることが多いようです。
外国人ばかりではなく、日本の富裕層も相続税対策として海外へ移住する人が年々増える傾向にあります。
スイスや香港、シンガポール、カナダ、オーストラリアなどは、相続税の制度がありません。
日本人の富裕層がどんどん移住しています。

相続税の範囲が広がった

2015年の税制改革では、相続財産が6億円を超えると最高税率が55%に引き上げられ、基礎控除額は40%も引き下げられました。
この改革以降、相続税の心配は富裕層だけのものではないという認識が広がりました。
実際に、亡くなった人の自宅などの相続にも慎重になる人が増えています。

相続税の対象になるものは、不動産、動産、現金、預貯金、有価証券、債権、ゴルフ会員権、リゾートクラブ会員権、無体財産権(特許権など)、生命保険金、死亡退職金など、想像できるあるとあらゆる財産です。
これとは別に、負の遺産も相続されていきます。
借金や住宅ローン、未払い小切手、未払いの税金、未払い分の家賃や地代、未払い分の医療費などです。
相続財産がこれらの負の遺産より多い場合には、それらを支払ったのちの残高が相続財産になります。
負の遺産がどの程度あるかわからない場合には相続の方法を慎重に考えなければなりません。

また、相続税の対象にならない財産は、墓地、仏壇、祭具などの祭祀用財産、特定の公益法人に寄附した財産などです。
純金製の仏像やおりんなどがよく売れるのは、これらのものが相続税の課税対象外だからです。
しかも、金は国際的に通用する財産なので長期的な資産保全に大いに利用されています。

相続が起きたら税務署に申告を

相続税は申告税なので、相続した人が被相続人の居住地を管轄する税務署に申告しなければなりません。
例えば、秋田県の親がなくなって、東京在住の子供が大阪の不動産を相続した場合には秋田県の税務署に相続税の申告納税をしなければなりません。
また、日本では海外の財産にも相続税がかかるので、もし、日本在住の人がなくなって海外の不動産を相続したとしても、相続人には日本の亡くなった人の居住地で相続税がかかります。
秋田県に住んでいた親がなくなって、東京在住の子が、ハワイの不動産を相続した場合、秋田県の税務署に申告納税しなくてはなりません。
海外の不動産など日本の税務署にわからないだろうと思うのは甘い考えです。
世界の主要国は税務に関して共同の情報網を敷いています。

相続のスケジュールに注意

相続税の申告と納税の期限は、被相続人がなくなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。
したがって、5月20日に亡くなった人の死を8月1日に知って、その後相続が開始した場合には翌年の6月の末日までに申告して納税すればいいのです。
納税は一般的には、現金で一括納付します。
期限より遅れれば延滞税がかかります。

どうしても、期限までに納められない場合には延納という方法もあります。
延納とは金利を負担して支払期限を延長する方法です。
また、物納という方法もあります。
不動産などを相続した場合、相続税を払うだけの現金の持ち合わせがない場合もあります。
このような場合に、相続した不動産の一部を税金の代わりに払うものです。
不動産以外にも物納できる財産はあります。

相続で申告漏れがあったらどうなる?

もし、相続をしたのに申告をしなかった場合、どうなるのでしょうか?
当然、本来払うべき税金は払わなければなりません。
その上に、本来の納期から実際に払う日までの延滞税が加算されます。

それ以外にも、罰則的な税金が加算されます。

無申告加算税は、相続したにもかかわらず無申告だった時にかかる税金です。
過少申告加算税は期限通りに申告したものの申告書に抜けがあったり過小に申告した場合に加算されます。
要はごまかしたときにも罰則的な税金がかかるということなのです。
過少申告の場合には、修正申告をします。
重加算税は相続財産を隠したり、相続していないように見せかけたりした場合にかけられる税金です。
これらは意外に多額なもので、軽い気持ちでごまかすと大きな負担を抱えることになります。

相続税は相続額に対する税率が決まっています。
しかし、相続税には課税控除の制度や非課税対象になるものなど、複雑な制度があってとてもに難しいものです。
税理士、弁護士、司法書士などの専門家に依頼する人も少なくありません。
そのような場合には、当然弁護士費用などが掛かりますが、こういった費用も相続財産の中から負担することができます。
累進課税なので、費用負担が発生すれば場合によっては税率が下がることもあります。
いたずらに費用を節約するよりは、専門家を利用することで精神的な負担から解放されて迅速に相続を進めたほうが合理的な場合も少なくありません。